電子書籍端末のネーミング
アップルのiPadが発売されて数ヶ月経ったが、シャープからも電子書籍に対応した多機能端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」が12月に発売されるようだ。
タッチパネル式のカラー液晶画面、5.5インチと10.8インチの2機種が発売されるようだが、縦書きやルビなどにも対応しているらしい。
世界標準仕様とは違う独自の進化を遂げた日本製の電化製品を揶揄する言葉として、日本の電化製品はしばしば「ガラパゴス」と呼ばれるらしいが、その言葉を逆手にとって、「独自の進化を遂げているからこそ縦書きやルビなど難しいと言われる日本語表記にも対応するように進化してるんですよ!」と言う意思表明とも取れる。
私は数年前からシャープのカラー電子辞書「パピルス」を使っているが、この電子辞書にはSDカードが入れられて、電子ブックなどをダウンロードして読めるようになっている。青空文庫で、「金色夜叉」や「雁」や「阿Q正伝」などを拾って電子辞書で読んでいた。シャープは他の形態の電子書籍対応型の端末の製造を、この時点ですでに考えていたに違いない。
「パピルス」も紙に書かれた文字情報に代わるものとして、また知識の伝授的な意味合いもあって付けられた名前だと思うが、「ガラパゴス」のネーミングもなかなかだと思う。
但し、ネーミングに関してはアップルも負けてはいない。そもそも、iPadは、モーゼがシナイ山で神から授けられた(十戒の刻まれた)2枚の石板Moses' stone tabletsにかけてか、Jesus tablet と呼ばれていた。
最近日本でも「タブレット型の電子書籍端末」などという言い方がされる。
そこでふと思ったのだが、そもそもアップルのロゴ自体、「かじられたリンゴ」と言うのは、エデンの園でアダムとイブが智恵の実であるリンゴを食べてしまったと言う、旧約聖書の記述を元に考えられたロゴで有るのではないかと。かじられた禁断の木の実は、(PCと言う道具やインターネットが)楽園(それまで暮らしていた自分の周りの世界)から追放される危険性を孕んでいるが、その代わり人類に智恵を授ける物であると言うメタファーと、一かじり=バイトと言うコンピュータ用語を掛けたしゃれのようなロゴだと思うのだがどうなんだろう。
仏教徒が蓮の花からお釈迦様を連想するのと同じ様に、キリスト教徒はリンゴからアダムとイブの楽園追放の話を連想するに違いないから、アメリカ人からは「そんな事今頃気が付いたのか・・・」と言われるかもしれないが。
ともあれ、今は登山用品とカメラ用品を買うのに手一杯で、到底電子書籍端末まで手が回りそうも無い。今まで通り、少し不便だが図書館で本を借りてきて読むとか、紙の本を買うとか言うスタイルの生活が当分は続くだろう。
新しい製品の名前の由来を色々考えるのは面白いが、これらの製品を私が使うのはまだまだ先になりそうだ。