夕方NHKのニュースを見ていたら、タイ政府が、タイ人拉致被害者と見られるアノーチャーさんの帰国を北朝鮮に申し入れているというニュースが有った。
ネットに記事が出ているのではないかと思い探したら、ここに同様の記事が有った。
先日も紹介したが、CBSの60MIUNTESのサイトに掲載されていた写真の中に、タイ人拉致被害者と思われるアノーチャーさんが写っている写真が有る。NHKのニュースでも同じ写真を紹介していたが、周りの英文がチラッと見えたから、もしかしたらCBSのサイトからとった物かもしれないと思った。
CBSの記事の簡単な粗筋を書いてみるが、誤訳が有ると思うので、出来れば記事の方を読んで欲しい。
典型的な、家族のスナップショットに見えるこの写真だが、写真の左側に写っている女性、ジェンキンスさんによるとタイ人拉致被害者だという事だ。
ジェンキンスさんの言葉が正しいとすれば、日本や韓国以外の拉致被害者の最初の証拠写真と言う事になる。
写真の女性、アノーチャー・パンチョイ(Anocha Panjoy)さんと言うタイ人女性で、彼女は、ジェンキンスさんの親友で、やはり元アメリカ兵のラリー・アブシャー(Larry Abshier)さんと結婚していた。
アノーチャーさんは、バンコクから120マイルほど離れた小さな農村の出身だが、マカオのbathhouseで働いていた20代の時に拉致された。この写真が撮られた1985年は彼女が拉致されてから7年経った頃だ。
彼女は国に帰してくれと何度も懇願したが、「ここの暮らしの方が前よりいいはずだ、なぜ不平を言うんだ?」と、言われていた。
夫であるラリー・アブシャーさんが1983年に心臓麻痺で亡くなってからも、アノーチャーさんはジェンキンスさんや曽我さんが住んでいた同じアパートで暮らしていたが、後に引っ越して再婚した。
アノーチャーさんとラリー・アブシャーさんの間には子供は無かった。写真の中で、アノーチャーさんの側に座っている白人のような容貌の子供は、他のアメリカ人脱走兵と彼の妻の子供だ。
今日見たNHKのニュース以外の報道も総合すると、アノーチャーさんが北朝鮮にいたという情報が、タイに住む親族や友人らに伝わり、地元では「二十七年前に失踪したアノーチャーに会いたい」と、救出を求める声が出始めたようだ。
タイの英字新聞「ネイション」がこの様子を大々的に報道した事もあってか、始めは及び腰だったように見えるタイ政府も、ついに重い腰を上げ、ジェンキンスさんから詳細な情報を得る為日本の外務省に協力を要請したらしい。
タイ政府の、「拉致被害者を帰国させて欲しい」と言う申し入れに対して、北朝鮮側は、「ジェンキンスさんが著書の中で述べている事は全くのでたらめだ。」と言っているようだ。
一連の報道を見て思った事だが、アノーチャーさんの写真の情報、ジェンキンスさんの手記関連のニュースが英語のメディアで大々的に報道されなければ、アノーチャーさんの親族も、まだ彼女の拉致に気付かなかった可能性が有るし、気付いていたとしても、タイの英字新聞が騒ぎ立てなかったら、政府の動きがもっと遅くなった可能性が有ると言う事だ。
英語による報道の威力は凄い! 「日本語による報道の何倍もの影響力が有るんだろうな」と、改めて感じた。
上記のタイの英字新聞「ネイション」の記事、最後にこう締めくくっていた。
Jenkins writes in a memoir of his life in North Korea, released last month in Japan, that he met or saw many people in North Korea he believed were abductees, including the woman from Thailand.