蘇州、寒山寺
蘇州観光で外せないものと言えば、寒山寺が筆頭に挙げられるだろう。
錦渓の蓮池禅院もそうだが、中国の寺の外壁は黄色く塗られている。黄色は皇帝だけが身に着けることを許された色だが、皇帝が仏教を信仰したため、寺院への使用が許可されたそうだ。
寒山寺では、大晦日、除夜の鐘をつく催しが1978年から行われており、日本からも大勢の観光客が詰め掛ける。
文化大革命の時代(1960年代後半から1970年代前半)、マルクス主義に基づいて宗教が徹底的に否定され、教会や寺院・宗教的な文化財が破壊された。空海も訪れたと言う古刹、寒山寺も例外ではなく、相当破壊されたようだが、1978年はもう除夜の鐘をつく催しが行われているとはちょっとした驚きだ。
この寺は寒山・拾得の故事でも知られており、森鴎外も「寒山拾得」と言うタイトルの小説を書いている。
寒山寺はまた、唐代(8世紀)の詩人、張継の七言絶句「楓橋夜泊」によっても知られている。
月落鳥啼霜満天
江楓漁火対愁眠
姑蘇城外寒山寺
夜半鐘声至客船
月落ち烏啼き、霜天に満つ
江楓・漁火、愁眠に対す
姑蘇城外、寒山寺
夜半の鐘声、客船に至る 月は落ち、烏は鳴き、霜の降りる気配が空に満ちている。
長江の楓や、漁師の漁火が、眠れずにうつらうつらしている眼に映る。
蘇州郊外にある寒山寺の、
夜半を知らせる鐘の声が、私が宿泊している客船にまで聞こえてくる。
詩の作者張継は、長安で科挙の試験を受けたが不合格となり、帰り道に寒山寺に立ち寄った。夜、楓橋近くの客船の中で眠れずにいると鐘の音が聞こえた、そのときの情景を詠んだものであるとされている。
元NHKアナウンサーの加賀美幸子さんあたりに朗読して頂いたらグッと来そうだな~。